「裁量労働制」のメリット・デメリット・導入で注意するところ・・・

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働き方改革で「裁量労働制」が注目されていますが、「裁量労働制」とは、特定の仕事において実際の労働時間ではなくて、事前に決めた「みなし時間」を基準として給与が支払われるという仕組みです。

例えば、請け負った仕事が8時間分の労働に相当するとされ、それを5時間で終了した場合、給与が時給ベースであれば5時間分ですが、裁量労働制では8時間分となります。

つまり、労働時間ではなくて、仕事の成果が求められるわけです。勤務時間も自由です。

「・・・時に来ないから遅刻だ」「・・・時に帰ったから早退だ」ということはありません。

ただし誤解を招きやすいですが、この制度は全ての働く人に適用されるものではなく「高度プロフェッッショナル」と言われる「高い技術を持つ人」「年収1000万円を超える人」に限って適用され、「残業代を一定程度で納めよう」という制度です。

これに該当するのは、証券関係のディラー・技術者・専門職などの人です。

これを導入するには、労働基準法に基づき手続きが必要となります。

会社・労働者間で労使協定が締結され、「みなし労働時間」「対象労働者」などについて決議し労働基準監督署に届け出る必要があります。

適用される業種は「専門業務型」「企画業務型」の2種類に決まっています。

「専門業務型」クリエイティブ職や専門的業務、労働者の能力・成果が労働者自身の裁量のもとに発揮できるような職業で、たとえばデザイナー・システムコンサルタント・証券アナリストなどがあります。

「企画業務型」は、「ホワイトカラー」を主に対象としたもので、会社の経営状態・環境の調査・分析・計画などを 行う業務、財務に関する計画・広報の企画などを行う業務です。

裁量労働制のメリットは、自由な働き方が実現できるため、通常勤務のように朝出社して決まった時間に休憩を取り、 定時まで働く必要はなく個々で働く時間を設定出来ます。

また、会社より指示を受けること無く自分のペース・段取り・手順で仕事を 進めることができるので、効率よく働くことが出来ます。

働く時間・方法を個々で決めることができるので、空いた時間を有意義に活用でき仕事・私生活のメリハリがつき両立が図りやすくなります。

裁量労働制のデメリットは、どれだけ多く働いたとしても一定の時間分働いたと「みなされる」ため、残業代は発生しません。

実際に多く働いていると言っても、残業代は認められません。

例外として、休日出勤した場合・深夜労働の場合の割増賃金の請求は可能です。

裁量労働制は、時間内で成果を出すことを前提に設定されていますが、時間のかかる案件の場合成果が出せないことも当然考えられ、そういった場合は長時間労働となります。

またチームワークが必要とされるグループでの企画業務の場合は、個々の裁量労働制の採用により歩調が合わせにくく、歩調が合わせると裁量労働制の採用の意味がなくなってしまいます。

労働者が 時間内で成果を出せない場合、仕事に対しての能力不足、あるいは能力があるために過剰に仕事が任せられ、その結果長時間労働になってしまいます。

「みなし労働時間」が実際の労働時間と見合っていない場合、労働者の能力を問題にするのではなくて「制度を見直す」必要があります。

裁量労働制を「残業代を出さずにすむ制度」と解釈しブラック企業体質を生み出す 可能性も考えられ、転職先がこの制度を導入している場合は、「みなし労働時間」「休日・深夜手当」「出勤時間」など確認することが大切です。

対象外の業務に違法に適用されたり、表向きは対象業務でも裁量が殆どない労働者に適用され、結果的に長時間労働・残業代未払いが強いられている場合もあります。

会社より「我が社は裁量労働制採用のため、残業代は出ません。労基署にも届け出を受理されています」「労働時間が長いのは裁量があるのに仕事が遅いからです」と説明があれば、その適用が違法であってもほとんどの従業員は納得し被害となる場合があります。

雇用側は、裁量労働制であっても労働時間の管理は必要ですが、裁量ということで管理をしない雇用者は多くなっています。

そのため労働者が長時間労働であってもわからず、過労死となっても労働者側が立証出来ないという事態も想定されます。

一部では、「裁量労働制」が「定額働かせ放題」とも呼ばれています。

裁量労働制の本質は、業務における遂行・時間配分を個々の裁量で決めることができるというところにあります。

法で定められた対象業務に 適用され、業務量が 正当なものであればストレスのない労働が実現し、評価も出来ます。

しかし、残業代を払いたくないために制度を濫用している事例は水面下で横行しています。

労働政策研究・研修機構による2013年「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果」においては、月平均労働時間で比較した場合、裁量労働制が一般労働者を上回っています。

これは、野党も国会で追求しているデーターです。

この調査結果による1ヶ月の平均労働時間は、専門業務型裁量労働制203.8時間、企画業務型裁量労働制194.4時間、一般労働者186.7時間となっています。

この調査結果から、「本来対象としてふさわしくない業種の人が制度を適用され過大な業務量を与えられている」ことがわかります。

政府は、厚生省のデーターを元に労働時間の短縮・多様は働き方の実現など反論していますが、「捏造」と言っても良いくらいいい加減なものであることが明らかになりました。

首相が2018/1/29 衆議院予算委員会において答弁に使った調査資料は、厚生省「2013年度労働時間等総合実地調査」です。

全国1万1575事業所を対象としたもので、労働時間は裁量労働制で1日平均9時間16分、一般労働者1日平均9時間37分でした。

このデーターは3年前の旧民主党部門会議で 公表されたもので、調査方法は裁量労働制は実際に働いた時間、一般労働者は1ヶ月の残業時間が最も長い日の時間数、を 調査したもので比較条件が全く違っています。

衆議院予算委員会で首相は、 今回のデーターを元に裁量労働制導入により労働時間が短縮されるとの答弁をし、問題が発覚したため発言を撤回しましたが、「厚生省からデーターがあがってきたので参考にして答弁した」と発言した首相当人が厚生省に責任転嫁しました。

数字のいいとこ取りで世論を誘導するのは、今の政権の得意とするところです。

裁量労働制は、仕事の進め方・働く時間が自ら決定できる人が対象で政府・経済界は「 多様で柔軟な働き方ができる」強調していますが、事前に決められた「みなし時間」を越え働いても残業代が発生せず、時間管理が甘く長時間労働の温床になっているとの指摘があります。

2011~2016年度裁量労働制のもとで過労死・過労自殺(未遂含む)で労災認定者は13人もいます。

この法案は、昨年の選挙終了後国会で議論されるものが、森友・加計問題があったため先送りされ、この法案を野党は「対決法案」としました。

対決法案」というのは「 中身がどうであれ反対する」というもので、国会で「労働時間が長いとか短いとか・・・」議論がいろいろとされていますが、結果的には強行突破・強行採決される法案です。

しかもこの法案には、職種・業種・年収に 関しては法律上の明記はなく、省令で決定されます。

省令の変更は国会で議論する必要がありませんから、根本の制度が国会を通ればその後の変更は自由なわけです。

これが「ブラック企業」の温床となるわけです。

東京都渋谷区のゲーム開発会社「サイバード」に勤務し、宣伝・イベント企画担当をしていた女性は、「専門業務型裁量労働制」が適用されていましたが、女性は残業が最長月約80時間にも及び適応障害を発症し、渋谷労働基準監督署が適用を 無効と判断し同社に残業代支払いを是正勧告しています。

女性は2017年から勤務し、雇用契約書には制度適用が明記され、月約8万円の裁量労働手当は45時間分の残業代にあたる、とされていましたが、 人手不足のため徹夜作業もあり残業時間は月80時間に及ぶこともあったようです。

ストレスもあり連日3~4時間の睡眠で入社直後から体調を崩し、2017/12 に「適応障害」と診断されました。

アメリカ大手医療機器メーカー「メドトロニック」日本法人が本社社員に対して導入していた「企画業務型裁量労働制」が、「適法ではない裁量労働制のもとに行われた時間外労働に対し残業代が 未払いである」と従業員からの申告が労基署にあったため、これを受けて三田労働基準監督署が是正勧告行いました。

同社は勧告を受け、人事制度を変更し未払いの残業代が支払われました。

法律の定める要件を満たさないまま裁量労働制が導入されていれば、それは違法・無効と判断され、残業時間に対する未払いの賃金を支払う義務が会社には発生します。

しかし、1人で労働基準法や関連の法令を調べるのは大変で、時間もかかります。

その場合、「ブラック企業対策プロジェクト」より作成された、「専門業務型裁量労働制チェックシート」がありますから、これを活用して自分の置かれた状況が確認できます。

チェックシートはありますが、裁量労働制は複雑で 判りにくい制度です。

「専門業務型裁量労働制」については、明確に19業務と限定されていますから判りやすいですが、「企画業務型裁量労働制」においては「企画・ 立案・調査・分析の業務」となり、 自分が対象業務なのかどうかの判断は難しいかもしれません。

さらに「労使協定」「就業規則」など確認する時間・方法が判らないかもしれませんが、力強い専門家がいますから困ったときはご相談下さい。

  • 裁量労働制ユニオン

   03-6804-7650

   sairyo@bku.jp

          http://bku.jp/sairyo

  • NPO法人POSSE

          03-6699-9359

          soudan@npoposse.jp

  • 総合サポートユニオン

   03-6804-7650

   info@sougou-u.jp

          http://sougou-u.jp/

  • ブラック企業被害対策弁護団

   03-3288-0112

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