有給休暇の義務化とそのメリット・デメリット、消化率とためらう理由?時間単位年休制度とは?・・・

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一般に有給休暇は、「有給」または「有休」と呼ばれますが、正式名は年次有給休暇です。

誤解を招かないためにも「有給休暇」または「年次有給休暇」と、呼ぶべきとされています。

厚生労働省では次のように規定されています。

有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりのある生活を 保障するために付与される休暇のことで、「有給」で休むことができる。すなわち取得しても賃金が減額されない休暇のこと

日本人の有給休暇の消化日数・消化率は、現在世界30ヶ国中最下位となっているため、この現状を踏まえて政府は年次5日有給休暇の義務化を法案化しました。

年次5日の有給休暇義務化・・・

2018/4 政府は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」(働き方改革 関連法案)閣議決定し、2018/5/31 衆議院本会議で可決、2018/6/29 参議院本会議で可決・成立し 2019/4/1 より施行されることが決定されました。

この法案は、高度プロフェッショナル制度(高プロ)導入がメインとなっていますが、「年次5日有給休暇の義務化」も含まれています。

「対象となる従業員」に有給休暇の指定をしなかった場合、労働基準法違反となり6ヶ月の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

中小企業のための適用猶予制度はありません。

ここでいう「対象となる従業員」とは、年10日以上の有給休暇の権利がある従業員を指し、それ以外では、

①入社後6ヶ月経過している正社員・フルタイムの契約社員

②入社後3年半以上経過している週4日出勤のパート社員

③入社後5年半以上経過している週3日出勤のパート社員

の従業員を指します。

しかし、有給休暇取得指定義務の対象外となるケースがあります。

①計画年休制度により、すでに年5日以上の有給休暇を付与している場合

②従業員がすでに年5日以上の有給休暇を取得している場合

この場合は対象外となります。

有給休暇義務化のメリットとデメリット・・・

「年次5日有給休暇義務化」の施行によって、いくつかのメリット・デメリットは存在します。

*メリット

①労使協定において、事前に5日間の有給休暇取得日を決定することで、個々の従業員ごとに改正法による5日以上の有給休暇消化義務を果たしたかどうかを確認・管理する手間を省くことが出来ます。

②お盆休み・年末年始休暇を現行よりも5日間延長する計画年休制度実施など、業務に支障が少ない時期に全社一斉有給休暇消化といった対応も可能となります。

*デメリット

①この制度を実行するに 当たって、従業員代表(従業員の過半数が加入する労働組合はその労働組合)との話し合いを行い労使協定締結の手続きをする必要があります。

公的な届け出は必要ではありませんが、この労使協定を社内で保管する必要があります。

②計画年休制度の場合、労使協定において決定となった有給休暇取得日を会社側の都合で変更することは認められません。

有給休暇取得指定は、従業員の希望を予め踏まえて企業側が数日分の有給休暇取得日を指定するという方式で、従業員側にすれば朗報と言えそうです。

しかし、サービス残業・休日出勤が当たり前のように常態化している現状においては、法の抜け道や例外規定によって骨抜きになったり、せっかく有給を取ってもサービス出勤することになるなど懸念も少なからず言われています。

有給休暇についての基本情報は、厚生労働省公開の「有給休暇ハンドブック」において公表されています。

日本の有給休暇の支給日数・消化率・消化をためらう理由・・・

引用:厚生労働省「有給休暇ハンドブック」

労働基準法第39条第5項において、有給休暇の付与は決められています。

雇用開始日から6ヶ月継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、最低10日間の有給休暇を与えなければいけません。

その後は、継続勤務年数1年毎に一定日数を加算した年次有給休暇を与えなければいけません。

引用:Expedia japan 「有給休暇国際比較調査2017」

日本の有給休暇支給日数は各国と比較しても大差ありませんが、2015年の有給休暇消化率は48.7%「2020年までに有給休暇消化率70%」という数値目標とは開きがあります。

また消化日数・消化率は世界30ヶ国中最下位です。

アメリカやシンガポールは、ビジネスイメージが強いですが80%以上です。

引用:Expedia japan 「有給休暇国際比較調査2017」

独立行政労働政策研究・研修機構の2011年「年次有給休暇取得に関する調査」において、有給休暇の消化をためらう理由がいくつか挙げられています。

①急な病気・休養のために残しておく必要がある

②社内において取得しにくい雰囲気が蔓延している

③取得することで評価が下がることを懸念している

④自分が休むことで職場の他の人に迷惑をかけるから

⑤仕事量が多く休む余裕がないから

など、理由は様々ですがこういった罪悪感がある・・・」という人は60%に上ります。

有給休暇の必要性・・・

引用:労働基準局「長時間労働の抑制と年次有給休暇取得率の必要性」

正社員・契約社員・派遣社員・アルバイト・パートなど働き方はいろいろとありますが、有給休暇は所定の年間労働日数に応じて取得出来ます。

有効期限は2年(労働基準法115条)となっています。

上限の20日分を全部取得しなかった場合は、翌年に繰り越しが可能で次の年の有給休暇は40日となります。

しかし2年間で消化できなかった場合、翌年度に消滅します。

会社側が「繰越のルールは我が社にはない・・・」といった場合、それは明らかな労働基準法違反なので労働基準局に通報する必要があります。

長時間労働が続き、プライベートの時間の確保が難しくなると

①メンタルヘルスへの悪影響

②仕事に対する意欲の低下

③生産性・業務効率の低下

④離職率の上昇

⑤人材の確保が難しい

など悪影響が発生します。

年次有給休暇は原則として、

「労働者が請求する時季に与えなければいけない」

・・・ですが、請求された時季がたとえば繁忙期であって事業の正常な運営に影響がある場合、他の時季に変更して与えるということが出来ます。

これは時季変更権と呼ばれます。

原則として「年次有給休暇は日単位で取得する」となっていますが、労働者が希望し雇用側が同意した場合に限り、労使協定が締結されていなくても日単位取得の阻害とならない範囲で半日単位も可能とされています。

時間単位年休制度導入・・・

平成22年労働基準法改正によって、時間単位での年次有給休暇取得の制度が導入され、適切な労使協定のもと年5日の範囲内で1時間単位の年休取得が可能となりました。

これによって個人のプライベート・仕事の都合など考慮しながら小刻みな休みを取得でき、1日休むことで仕事が溜まっていた従業員も、小刻みに休みを取ることで業務上の負担軽減に繋がります。

このような時間単位年次有給休暇制度導入は、雇用側と労働組合の労使協定締結が必要で、その後労働基準法89条1号の規定により、時間単位有給休暇制度についての記載を行います。

就業規則変更は、労働者に対して周知を徹底し労働組合の意見書を添付して所轄労働基準監督署長への届け出が義務付けられています。

時間単位有給休暇の1時間分の賃金は、次のいずれかを「その日の所定労働時間数で割った額と同額」と規定されています。

①平均賃金

②所定労働時間を労働した場合、支払われる通常の賃金

③標準報酬日額

報酬日額相当額を支給する場合、労使協定が必要となります。

上記3点のいずれかで計算し、1日単位年休取得の場合と同様に、決定後就業規則に明記しなければなりません。

まとめ・・・

労働基準法第39条において、「雇用者は労働者に対し毎年一定日数の年次有給休暇を付与する」と規定されています。

年次有給休暇制度とは、「労働者がまとまった日数の 休暇を取得し、日々の生活にゆとりが もてるように・・・」という趣旨のもとに考慮されたものです。

しかし現実は、「職場の目が気になる・・・」「他の人に迷惑がかかる・・・」など幾つかの 理由によって、気兼ねなくまとまった休みを取ることは必ずしも容易ではありません。

実際に、日本の年次有給休暇取得率は50%を下回っていて、世界的にも最低クラスです。

この制度が施行されることで強制的な感は歪めませんが、気兼ねなく年5日間休暇を取得でき、労働者にとっては朗報であり大きな前進と言えます。

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