「終身雇用制度」とは?そのメリット・デメリット、継続が難しい理由、「崩壊」した時は?・・・

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2019/4/19 経団連の中西宏明会長(日立製作所取締役会長)は、「今後、企業が終身雇用を続けていくことは困難である・・・」と発言し、2019/5/13 トヨタの豊田章男社長が、「終身雇用の継続は難しい・・・」との認識を示したことで、大きな波紋を呼んでいます。

お二人の発言には微妙な違いは感じられますが、日本企業が大きな転機を迎えようとしています。

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「終身雇用制度」とは・・・

「終身雇用制度」は、「同一企業において業績悪化による企業倒産がない限り、定年まで雇うことを前提とした雇い方」です。

「厳しい環境下でも従業員を守る・・・」という松下幸之助氏の信念のもとに生まれ、その後日本式経営の象徴の1つとして浸透しました。

これは日本独自の正社員雇用における慣行で、「長期雇用慣行」とも呼ばれます。

松下幸之助氏は、パナソニックを築き「経営の神様」と謳われた方です。

現在私達の生活に根付いている「週休二日制」を取り入れたのも松下氏で、労働者の働き方に大きく影響を与えています。

昨今の厳しい社会情勢の中、働き方に於いて保守的な考えの人は多く、若い世代でも終身雇用を望む人は年々増加傾向にあります。

「終身雇用=安定」と考える労働者も多く企業選択の面でも根強い人気があります。

「終身雇用制度」は、基本的に正社員に適用され「企業が従業員を超長期に雇用する制度」を指して使われる言葉ですが、「企業は社員の終身雇用を保証する・・・」と法律などで明確に定義されたものではなく、「個々の企業の努力目標・・・」的な形で取り入れられているもので、「労働者の権利・・・」ではなく日本の習慣です。

法的には「終身雇用」という言葉はなく、法律上の定義もありません。

そのため、「全国で終身雇用されている従業員の数・・・」といった政府統計は存在しません。

「終身雇用制度」のメリット・デメリット・・・

労働者側のメリット

①定年まで同一企業で働くことが可能で、安定した収入が確保でき精神的・経済的に不安材料が少なく、生活も安定し人生設計も立てやすい

②終身雇用制度を取り入れている企業は、年功序列制度を組み合わせている場合が多い

③年功序列制度で年々昇給が見込め、住宅ローンなど長期的ローンも組みやすく、会社からの融資も見込める

④雇用が維持されることで、信頼関係が深まりキャリアを積むことができる

⑤先輩から後輩へスキルの継承ができる

企業側のメリット

①長期的に人材が確保できる

②社員教育によって自社カラーに染めることができ、長期的な人材育成が可能

④長期雇用により信頼関係が深まることで忠誠心が育ち、定着率が高まり高い能力の人材の流失を防ぐ

離職率低下が見込め、教育費用・採用費用が抑えられる

⑥社員の労働力・豊富な経験は、企業の資産となる

労働者側のデメリット

①女性が出産・育児休暇取得期間中は、新たな人材を雇用・教育するコストが掛かるため、結婚・出産などで退社する可能性の高い場合、積極的に採用しない傾向にある

②女性は、出産・育児休暇取得後再雇用されても補助的な役割を与えられる場合が多く、「出世を望めない・・・」といった不利な状況になりやすい

③終身雇用制度とともに年功序列制度を組み合わせている企業が多く、女性の昇給に繋がりにくい

④正社員の長時間労働によって人手不足を補う状況がある

企業側のデメリット

①終身雇用のため解雇されず継続雇用されるため雇用調整が難しく、慢性的な余剰人員や時代に不適合な労働力を抱かえる危険性が有る

②労働力の高齢化・賃金コスト上昇が大きく負担となる

③終身雇用という安心感から勤務を怠り、指示されたことは行うがそれ以上はしない「ぶらさがり社員」が存在する

④モチベーションの低下が社員の質の低下を招く

「終身雇用制度」の継続が難しい理由・・・

日本では、これまで労働者の雇用形態として「終身雇用制度」が一般的と考えられてきました。

しかし近年では働き方の変化や目まぐるしく変化する社会情勢から「終身雇用制度は崩壊しつつある・・・」とか「すでに崩壊している・・・」と言われています。

「終身雇用制度」は、「業績は伸び続けるもの・・・」という前提に立った考えですが、現在の市場の状況で継続していくことは非常に困難になっています。

日本企業に勤務する社員の給料は、過去10年間ほとんど上昇していません。

この状況を見て多くの人は「企業が人件費をカットしているから・・・」と考えているかもしれませんが、日本企業全体の売上高も過去10年間ほとんど横ばいで推移していて、総人件費だけが増大しています。

社員の平均給与の上昇がほとんど見られないにもかかわらず、総人件費が増大している原因は、社員数が増大しているからです。

「日本は人手不足が深刻・・・」と言われていますが、その大部分は小売・介護・外食など現場が関わる特定業種の場合で、ホワイトカラーは大量の余剰人員を抱えています。

市場環境は時代とともに常に変化していて、企業はそれに対応するために常に新しい人材を必要としています。

特に近年のビジネスモデルの変化は激しく、各企業は新規事業のたびに中途採用で新しい人材を求めています。

ここでネックとなるのが「終身雇用」です。

日本企業は「終身雇用」を前提としているため、スキルが合わなくなった社員を解雇することが出来ず、そのまま抱かえ込む以外に選択肢がないため、結果的に社員数が増加していきます。

日本企業は終身雇用であると同時に年功序列であるために、若い社員が現場の仕事を担うシステムです。

そのため現場を離れた大量の中高年社員が存在する一方で、現場の仕事をこなすために常に一定数の新卒社員を採用する必要があり、これもまた社員数の増大する原因となっています。

「終身雇用制度」が崩壊したら・・・

終身雇用が当たり前の時代では、企業が定年まで守ってくれるという厚い保護があり、社員はその対価として「企業に忠誠を誓い企業のために働く・・・」ことで安定した生活を送れましたが、企業に縛られた人生を定年まで送ることになります。

終身雇用が崩壊すると企業は社員を守ることは難しいですが、社員は企業に縛られない働き方が可能となります。

企業のためにサービス残業・休日出勤などは不要となり、定時退社後に副業も可能です。

企業の業績が悪化すれば、給料の高い中高年社員(40代後半~50代)を雇用し続けることは困難となり、早期退職を迫る可能性は高まります。

企業も終身雇用が難しいとなれば「転職」が当たり前となり、より自分にあった職場を見つけるために活発化すると考えられます。

企業形態も変化し、終身雇用制度崩壊により中間管理職は不要となり

①企業存続のための幹部社員

②任期型のスペシャリスト

③パート・派遣など単純労働者

の3層で構成されます。

任期型スペシャリストに関しては、企業がプロジェクトごとに契約することを前提にすれば外注型でも可能

まとめ・・・

終身雇用が当たり前の時代では、企業が定年まで守ってくれるという「厚い保護」があり、その対価として企業に忠誠を誓い企業のために働くということが当たり前で、安定した生活・人生を保証されますが企業に縛られた人生を定年まで送るということになります。

「終身雇用制度終了宣言」があったことで、「企業のために働く・・・」から「自分のために働く・・・」という働き方に変わっていきます。

「転職」に対する悪いイメージも薄れるため転職が活発化され、より自分に適した職場を見つけることが可能となります。

年功序列制度も機能しない可能性が高く、新卒一括採用の見直し・同一労働同一賃金・正社員と非正規社員との格差縮小が進むと考えられています。

結果的に日本型雇用が諸外国と同じ制度になるわけです。

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